ゆきノート

好きな本や音楽、同棲中の恋人とのことなどについて。

二人で暮らすということ

この週末は、物件を探しに行った。今度恋人と一緒に暮らすための部屋を探すためだ。

物件は無事に決まった。初回の相談に行ってその日のうちに契約までこぎつけるとは思っていなかったので、ちょっとびっくりしている。互いの職場にある程度近く、周辺に色々なお店があって生活にも困らなさそうな場所を選んだ。家賃も思っていたより安く抑えられた。私の実家も近く、個人的にはかなり納得のいく部屋だ。物事がトントン拍子に進みすぎて、何かこれから恐ろしいことが起こるのではないかと身構えてしまうが、そんなことはないと信じている。

恋人と二人で不動産会社のカウンターに出向き、部屋の内見と契約手続きを済ませて店を出ると午後4時頃だった。まだ夕食の時間に早いので、駅から契約したての新居まで二人で歩いてみることにした。大通り沿いを並んで歩く。二人であの部屋に暮らすようになれば、きっとこのバーで1杯ずつ飲んで帰ったり、あの角のコンビニでアイスを買って食べながら帰ったりするのだろうなあと話しながら、横断歩道をひとつふたつと渡る。土曜日のお昼はあの中華料理屋でランチにするのが恒例になるのかもしれない。

実家以外の場所で生活するのは、今回が初めてだ。これから週末に予定を合わせて家具や家電を買いに行ったりもするのだろう。部屋にものを本格的に運び込む前に、協力して部屋の掃除をしたりもするのだろう。ベッドのサイズで悩んだり、家具の配置で軽く揉めたりするのだろう。誰かと暮らすって、こういうことなんだなあと実感している。恋人とは大学生の頃から将来は結婚して一緒に暮らすことを合意済みで、同居するならどのような感じになるのかをなんとなく想像することはこれまでもよくあった。しかしいざ住む場所の立地や間取りが確定し、数か月後にはこの部屋で二人で眠ることになるということになると、不思議な感じだ。親から離れて、他人と二人暮らし。そんな状況に自分が身を置くことになるとは、考えてはいたが、考えてもみなかった。

物件の契約の書類は恋人が契約者として記入した。ある書類に、住居者全員の名前と契約者との続柄を記入するところがあった。私の名前の横の続柄欄に何と書くのか迷った。恋人ではあるが未婚なので「妻」ではないし、かといって「友人」でもない。手続きを進めてくれている担当者の方に、こういう場合どう書くものなのかと聞いてみると、「婚約者」でよいと教えてもらった。そうか、私たちは客観的に見て婚約者と言って妥当なのか。そう思うとなんだかむず痒いような変な気持ちだった。隣を見ると、書類の電話番号の欄を書き間違えた「婚約者」が、「ああ」とも「うおお」ともつかない良く分からない声を上げていた。